8,700人の日本人「投資家」達がアメリカの詐欺師に計1,300億円を騙し取られたと言う投資詐欺事件を検証する

MRIインターナショナル被害者の会(4) ~死ねば偉いのか?~

イチキ氏は前回紹介した「請願・質問状」に添えて以下のような手紙をケネディ新駐日合衆国大使に送ったと言う。

以下はイチキ氏のブログに掲載された下書き段階らしきもの。もしかしたら実際に送付されたと言う最終バージョンとは詳細で異なるかもしれない(下線[数字]太字は拙者、打ち消し線は原文のまま。なお当該ブログ記事は2014年5月現在削除されている)。
2013年9月
アメリカ大使館
キャロライン・ケネディ駐日大使
私は、MRIインターナショナル被害者の会の代表の一木 堅太朗と申します。
 この度は、駐日大使ご就任おめでとうございます。
我々、日本人は貴女の来日を快く歓迎いたします。
そして、初の女性大使という事で更に日本が華やかになります[1]
前駐日大使のジョン・ルース大使は東日本大震災にて我々の同胞である多くの日本人の為にご尽力をし、アメリカ海軍の主力でもある第7艦隊にて救援にきていただいた事を我々日本人は今でも忘れません。
 両国間では戦後68年を経過し、我々はその間に大きな溝を信頼・誠実な対応により埋めあいました。
その結果、両国にお互いの国に民間会社が入り経済協力を結び文化の交流などでアメリカ人・日本人は認め合えるようになりお互いになくてはならない存在になりました。
 しかし、今我々の良好な信頼関係を崩す者がでてきました。
彼等のやった事で、日本人の女性が犠牲になりました。
彼女は、49歳でご主人と2人の小さなお子さんを残し自ら命を絶ちました。
彼女は、犠牲にあった事を誰にも言えず一番頼りになる家族にさえ打ち明けられずにいました
[2]母親が子供を置いて自死するのはとても追い詰められた状況だったと考えます。

彼女を苦しめたのは『詐欺』でした。

 この詐欺を企てた会社は、アメリカのネバダ州にあるMRIインターナショナルインク(以下 MRI)という会社です。彼らがターゲットにしたのは日本人であり犠牲者は8700人に及び1360億円という被害額になります。
日本国内の報道ではMRIは、15年間に渡り一般的な金融機関を装い国際的な基準では金融リテラシーが低く且つ、投資経験の少ない年配者・女性など社会的弱者層を騙し[3]続け死に至らしめました

 本来であれば、国際的な詐欺事件は本社をおく国の政府・当局が主体的に動かねばならない事でありますが今回の事件は被害者が日本人だけという性格から日本から動いていますが米国が主導的に動かなければならないと考えます。

 MRIは15年にも渡りポンジ・スキームをおこなってきた可能性が非常に高く1360億円のうち現在の、残金は10億円から20億円という結果になっています。
15年の内に租税回避地に移し巨額のお金をマネーロンダリングした可能性が非常に高い[4]です。
マネーロンダリングの可能性を高く秘めている以上、米国の金融会社の信用回復は米国政府が、主導的に動き両国の当局に捜査協力を結ぶよう要請をし真摯な態度をとるべきです。

MRIの詐欺事件を、現在日本の当局・米国の当局も詐欺の可能性が高い事から調査に入り日本では国会議員を始め地方議員・詐欺被害者グループもTPPの問題に絡め国会に問題提起を起そうとしています[5]
 今、我々は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を結び更に強固な絆を結び周辺諸国をも牽引をしていきます。この中には、金融の国境を取り払うという取り決めもありますがMRIの詐欺事件は今後、両国への大きな足枷となる事は必死[6]です。
それは、米国の金融商品の信用に結びつくからです。

 またMRIの問題には、日本国内のTPP推進派・反対派の団体も大きな関心を寄せ[7]未だ日本には反対派が多数を占めていますが両国の金融機関が間違いを起こした時の政府の対応の姿勢に注目を集めています。
現在、日本では国会議員を始めマスメディア・教育機関・市民団体がネガティブキャンペーンをしています。これにより、多くの日本人はTPPに大きな不安を抱いています。
政府として真摯な姿勢をみせる事は、両国の国益ひいてはTPPに加盟する国の全国民の安心と利益にも繋がりTPP締結後の予防にもなります。

 今後の新しい経済協定(EPA・TPP)・両国の信頼関係に亀裂を入れないためにも何卒よろしく両国の当局に捜査協力を結ぶよう要請する事をホワイトハウスに打診をするよう強くお願い致します。
尚、別添に『米日の個人投資家による国際金融取引の安全を求める署名活動(請願)』の趣旨と賛同者の署名。
MRIインターナショナルインクに関する米国でおこなわれている裁判資料・情報・日本国内報道資料などを添付させて頂きます。
新駐日大使の着任を祝うのは誠に結構なことだ。まぁ、本音はイチキ氏特有の大風呂敷を広げた論法で駐日大使まで巻き込んで何とか自分たちに有利な状況を作ろうとする政治運動だろう。無駄とは言え、ご本人の好きで行っていることなので本来拙者などが口を出すことではないが、「MRIインターナショナル被害者の会」の検証の締めくくりとして少々書く。

イチキ氏のはっきり言って拙い文章を逐文的に検証することにはかなりうんざりしてきたが、これが最後と言うことで、今までと同じように特に注目した箇所を挙げる。

【1】キャロライン・ケネディ大使は日本で知名度が高く人気も高いようだ。拙者も日米間初のテレビ衛星中継で彼女の父JFKが暗殺されたニュースを日本で生で見たことを記憶している。ただし、拙者は個人的にはキャロライン・ケネディ氏の大使として力量はそれ程評価していない。着任から4ヶ月ほどの間の日本での報道は、家族でスキーに行ったとか日本の衛星打ち上げを見に行ったとかぐらいしかなく、日米間の重要課題について指導力を発揮して問題の解決に実績を挙げたとは聞いていない。

「被害者」からもこんな書き込みがある。
(前略)
今度の米国の駐日大使は親善大使のようです。政治、外交、行政経験がなく、オバマの当選の論功のようです。亡くなった民主党の大物議員だった叔父がオバマの応援に回ったので。たしか、この方の祖父も同じような理由で駐英大使になっています。

2013年8月17日 8:44 AM

どちらかと言うと、「初の女性大使」「悲劇の元大統領の娘」を看板にした「人寄せパンダ」の印象が強い。

【2】「犠牲にあった事」は意味不明。もし「投資詐欺の犠牲になった事」あるいは「投資詐欺被害にあった事」の意味ならば、「誰にも言えず一番頼りになる家族にさえ打ち明けられずにいました」は報道されている事実とは違う産経新聞の記事では以下のようになっている。
平成25年4月26日朝。会社に向かう電車内で、妻から男性の携帯電話に連絡が入った。電話口で、妻は取り乱してこう言った。

 「大変なことになった。家に戻ってきて!」

 「すべて」を投資していたMRIに対し、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(誇大広告)容疑で強制調査に踏み切った様子が、テレビニュースで報じられていた。

 狼狽(ろうばい)した妻を心配した男性は、会社を早退して帰宅。「落ち着け。起こってしまったことはしようがない」。男性が慰めたが、妻の耳には届かない。MRI日本支店に何度電話をしてもつながらず、不安に拍車をかけた。「最初からもっと疑ってかかっていれば、こんなことにはならなかった。どうしよう。どうしよう」。同じ台詞(せりふ)を繰り返す妻。この日を境に、妻は食事がのどを通らず、睡眠も十分にとれなくなっていった。
これを「家族にさえ打ち明けられず」と表現するのは事実の歪曲(=嘘)と言われても仕方がないだろう。

【3】「金融リテラシーが低く且つ、投資経験の少ない」?おやおや、イチキ氏は事件発覚直後のテレビインタビューで「(MRI被害者は)人一倍投資に対して研究している人が多かった」と答えたのではなかったのか?

現にこの女性も、上記産経新聞記事によれば
 男性と40代の妻が、MRIへの投資を始めたのは平成14年。妻の親が死去したことで遺産を相続したことがきっかけだった。「大事に使えよ」との男性の言葉を受け、元銀行員で慎重な性格の妻は「将来の子供の教育費に」と複数の金融機関などに分散して投資。投資先の1つがMRIだったという。
と、その内容はともかく、少なくとも11年間に渡って投資行動を経験しているが、それでも「投資経験の少ない」部類なか?

「金融リテラシーが低く且つ、投資経験の少ない」人、「年配者」、「女性」が即「社会的弱者」と言う論法はどこから来るのだろう?8,700人で合計1,360億円騙されたと言うから、一人あたりの平均額は約1,563万円。1,500万円を「投資」に注ぎ込める人を「社会的弱者」と呼ぶ人はイチキ氏以外に何人ぐらい存在するのだろう?

何度も言うが、「金融リテラシーが低く且つ、投資経験の少ない」人は外国のよく仕組みの分からない投資話などに手を出すべきではなかった。

【4】イチキ氏がこの手紙の原稿を公開してから半年経つが、MRI幹部が集めた金を洗浄したとか租税回避地に隠したとか言う報道は聞いていない。もしそのような事実があればマスコミを含めてかなりの大騒ぎになるはずだが、イチキ氏は何処からそのような情報を得たのか、またはどのような根拠でそのようなことを連続する二文で「可能性が高い」と強調して駐日合衆国大使に進言しているのか?

【5】こう言う大法螺(=大嘘)はいけない。もし真実なら、どの国会議員がどのように問題視したのか具体的に公表して欲しい。また、「問題提起を起そうと」は「馬から落馬」と同じ重複表現。文を書いた人間の教養の程度が知れる。

【6】実際に送付した手紙では正しい漢字になっていることを希望する。

【7】大法螺(=大嘘)の続き。こう言う嘘を続けるとオオカミ少年になる。

このような真実とは異なること(一般には多分「嘘」と言うのだろう)ばかりで固めた手紙を日本の最大の友好国である合衆国の駐日大使に渡して自分の政治的主張に協力せよと迫るとはどういう神経だろう?全く以て失礼な話だ。

TPPだの何だのとMRI事件とは次元の違う無関係な国際経済問題との関連を装う件については、前回の「請願書・意見書・公開質問状」でそのナンセンスさを検証したのでもう言及しない。

今回主たるテーマとして取り上げるのは太字の部分。イチキ氏は、この40代の女性「被害者」の自死を各所で執拗に引き合いに出して自分の主張・政治活動の根拠にしているように見える。
2014年1月16日
同日[拙者注:2014年1月14日]、被害者の会は警察庁・警視庁に行き早期に、MRIインターナショナルとその関係者への刑事責任追及の申立書を持参しプレゼンをおこなってきました。

注)この申立書については、現在公表されていない活動・資料もある事から一部の抜粋となりますが以下の様な事を申立てをしてきました。

・本事件は殆どが、日本人の被害者である事から本来であれば、日本の当局がイニシアチブをとりFBIと連携をして捜査をするべき事件であり、捜査に着手する動きがないのは、日本の警察の信用を失墜させる。
本事件が原因となり40代の女性が自死されています。そもそも警察法には、個人の生命・身体及び財産の保護に任じると定めているにもかかわらず本事件に着手しないことは、国民には責任放棄としか見えなく警察組織への信頼を著しく損なう。また、米国の法執行機関の動きを傍観している様に見え、その態様は被害者を落胆させ新たな犠牲者を出す事につながりかねなく、日本国家の威信を著しく損なっています。

上記2点から、今までのMRIインターナショナルの事件の証拠と報道資料を出しプレゼンを行ってきました。
警察は、多分、近年起こった複数のストーカー殺人事件などで警察が被害者の訴えを真摯に取り上げなかったことが最悪の結果に繋がったと言う批判を意識して、投資詐欺で騙されたことを悲観して自殺と言う、犯罪とは直接関係ない案件に対する警察への言い掛かりを困惑しつつも大人しく拝聴(のふりを)して見せたのだろうと想像する。現在のところ、日本の警察機構が本件に関して積極的に活動していると言う情報はないようだ。「被害者」達が送金したのはアメリカの銀行であり、首謀者とみられる関係者全員はアメリカに行ってしまっているようなので日本の国家権力の及ぶところではなく、これ以上の介入は無用と言う判断なのだろう。

この「自死した女性」とは、産経新聞の記事に詳細が書かれており、またそれ以外の新聞やテレビ番組でも何度か取り上げているが、それらをまとめると以下のようになる。

 ・死亡時49歳
 ・50代の夫と小学生と中学生の娘姉妹
 ・関東地方在住
 ・元銀行員
 ・2002年に相続した親の遺産から750万円を初めてMRIに「投資」
 ・東日本大震災で自宅の一部が損壊
 ・東日本大震災の保険金から1,000万円を「投資」
 ・「投資」合計額3,750万円(「約4,000万円」は予定配当を入れてか?)
 ・2013年4月26日朝にテレビニュースのMRI事件の発覚を知り狼狽
 ・2013年5月3日に自宅でぶらさがり健康器にひもを括りつけ縊死自殺未遂
 ・そのまま「急性ストレス障害」で入院
 ・2013年6月28日に退院
 ・退院翌日2013年6月29日に自宅二階の納戸でパイプラックにかばんのひもを括りつけ縊死自殺・死亡
 ・警察から被害弁護団に照会で判明
 ・弁護団が2013年7月6・7日の大阪・名古屋での説明会で公表

信濃毎日新聞
2014年10月2日信濃毎日新聞記事


家族をこのような形で亡くされた家族の心痛は如何ばかりか。特に、納戸で首を括ってぶら下がっている母親を見つけて首にかかったひもを鋏で切断したと言う中学生の長女が受けた衝撃と悲嘆は想像を絶する。家族には深い弔意を伝えたい。

しかし、それで終わらせてしまっては何もならない。恣意的に「死屍を鞭打つ」意図はないが、「死んだらすべてチャラで批評の対象にしてはいけない」とも思わない。軽挙で思慮の足りない反発の可能性を覚悟で、この自死した女性の件について検証してみる。

まず、「自殺」と言う解決手段は一番まずい手段、と言うより、何も解決しない最も愚かな行動だ。実は拙者自身の近親にも人生を悲観して自殺した者があるが、遺族としては、悲しいと言うより「(悩みを)相談されなかった。侮られた。馬鹿にされた」という感情を含む遣り切れなさが強い。年少の親族には本当の死因は告げていない。後に残されたものへの影響を考えない無責任極まりない行動だ。自殺した本人はそれなりの葛藤、苦慮、煩悶があったことは想像に難くないが、それにしても「たった4,000万円ぽっち」のことで自分で自分を殺めて「殉金死」するなど、愚かと言うしかない(拙者もリーマンショックの時は、「一夜にして」ではないにしてもそれぐらいの金額を失っているがピンピンしている)。繰り返すが、自殺などしても何も解決しない、何もよいことはない。残された家族、特に年少の子供に生涯忘れられない多大なストレスを与えるだけだ。

もっとも、この女性は普段から、特に重大事件が起きた時の論理的思考とはあまり縁がなかったのかも知れない。朝のテレビニュースでMRI事件を知ったからと言って、出勤途中の夫を家に呼び戻して何をするつもりだったのだろう?こういう時は、慌て騒がず、せめて大深呼吸を3回して、酒でもしこたま飲み、床に寝つくばって無修正AV鑑賞などをすべきで、そう言う耐性がない人はリスクのある投資はしない方がよろしい。

イチキ氏は、ケネディ駐日合衆国大使に宛てた手紙の中で、この女性に自殺を引き合いに出して自分の政治的主張の支えの一つとしている。ケネディ大使がどのような宗教を信仰しているかは知らないが、彼女の父JFKはそれまでのプロテスタント・キリスト教徒が支配していた合衆国の大統領の系譜の中で、初めてのカトリック・キリスト教徒として有名だった。その起源を分かち合うキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の三大セム系宗教では、人間とその生命は神が創造したものであり、それを自分で絶やすこと、すなわち自殺は神に背く大罪である(従って近年のイスラム過激派に見られる自爆テロも敬虔なイスラム教徒の考えとは合致しない)ことをイチキ氏は知っているのだろうか?

更に数字だけ見れば、2012年の日本の自殺率は人口10万人あたり21.7人だった。MRI「被害者」総数8,700人に家族を加えれば直接「被害者」とその家族の総数は1万人は下らないから、その中から事件発覚後1年間で2人の自殺者が出るのは統計的には特異ではない。拙者の親族の例を挙げれば、この者は普段から鬱病傾向であって、少なくとも他人が理解できる格段の理由なく自死したから、この女性もそういう体質・傾向で、たまたまMRIの件がきっかけとなった可能性がある。

この女性は元銀行員だったと言うが、それは本件にはあまり関係ないだろう。もし本質的な意味での銀行業務に精通しており自ら判断を下すような職位にいれば、近年の世界的金融情勢から見て、MRIの「投資商品」の異様な高リターンとそこに隠されていた高リスクがある程度見えていたのではないだろうか?また、多くの他のMRI「被害者」と同様に、最初は分散していた投資先を次第に集約して、最後はMRIにほぼ全財産を注ぎ込むなど、とても素人臭い。拙者には「元銀行員でさえ騙された」より「元銀行員なら騙されなかったはず」の方が真実に聞こえる。多分、この「元銀行員」の女性の銀行での仕事は、今日は伝票を右から左に渡し、金を左から右に渡す、明日は伝票を左から右に渡し、金を右から左に渡す程度の業務ではなかったかと想像する。

さて、この女性がMRIに「投資」したとされる約4,000万円の原資の大きな部分は親の遺産だと言うが、報道には以下のように述べられている。
その後、東日本大震災で自宅が一部損壊した際に下りた保険金約1000万円もMRIにつぎ込むなど、投資額は計3750万円にふくれ上がっていた。投資は順調なはずだった。
おやおや、東日本大震災の保険金1,000万円もMRIに注ぎ込んで一緒に騙し取られたと言う。ちょっと待ってくれ。このような損害保険金と言うものは、損害を修復するための費用の補償で、損害の修復のために費消されるべきものではないのか?それを「投資」に注ぎ込むとはどう言うことなのだろう?

世の中には、事故・災害で被った実際の被害以上の金銭を補償として加害者や保険会社からせしめる「焼け太り」が存在する。この自死した女性もやはり焼け太った、あるいは焼け太ろうとしたのだろうか?もし実際の損害がないにもかかわらず、あるいは1,000万円も余剰金が出るような実際の損害を大きく上回る過剰な保険金を受け取っていたとすれば、そこには保険金詐欺の臭いさえしてくる。

MRIの件は詐欺の疑いが強いが、保険金詐欺はそれより悪質だ。MRIが騙し取ったのは私利私欲で財産を増やそうとして自己責任でインチキ投資話に騙された、日本の人口の0.007%に過ぎない「被害者」達の金だが、保険金詐欺で払われる保険金の原資は万が一に備えた他の被保険者の払う保険料で、不正支払いがあればそれは最終的に保険料の値上げとなって他の被保険者の負担になるから。

更に、冷静な下衆の勘繰りをすれば、報道では『狼狽(ろうばい)した妻を心配した男性は、会社を早退して帰宅。「落ち着け。起こってしまったことはしようがない」。男性が慰めた』『「悪いのはMRIだ」「節約すればいいよ」慰めの言葉を』となっているが、これは多分「男性(=自死した女性の夫)」の言い分だけが根拠だろう。本事件で4,000万円近い金を摩ってしまったことについてこの夫婦の間で実際にどのような遣り取り・葛藤があったのかの真相は誰にも判らず、それがこの女性の自死とどう関連しているのかも永遠に不明だ。



「MRIインターナショナル被害者の会」についての検証は今回で一応締めくくるが、その存在意義は何なのだろう?

拙者の印象では、「被害者の会」は部分的にMRI被害弁護団の「非公式広報係」として「被害者」達との通信などの雑事を実質的に請け負っているような感じがする。まぁ、弁護団としては、金にならないMRI事件の仕事で、テレビジョン放送の番組放映予告の伝達などの「つまらない雑事」の手間をできるだけ省くには好都合だろう(弁護団の中にはマスコミへの露出を積極的に好む「テレビ芸人弁護士」もいるようだが…)。

しかし、「被害者様は偉いんだ」とばかりに大言壮語と大法螺と大風呂敷を引っ提げて政治活動をすることに拙者は賛成しない。特に、社会のルールを曲げて自分たちを特別扱いしろ(「みなし税」問題)とか、税金から金員を支給しろ(「NPO化して補助金」)や、本稿で取り上げたように嘘を言って外国大使に無遠慮な「請願」などの名目での口利きの要請などをし、TPPのような次元の異なる政治問題に都合よく(しかし稚拙に)絡め(MRI事件は政治問題ではない)て自己の言い分を正当化しようする姿勢は、拙者ならずとも世の人々の反発を招く。おまけに、その死因を問わず日本人の土着的宗教観が抵抗し難い、人の死、しかも多分イチキ氏とは縁もゆかりもない、単にMRIに騙されて金を失ったことを悲観して無分別に自死しただけの関係でしかない赤の他人の死を以て迫るやり方にえげつなさを感じるのは拙者だけではないだろう。そんなことをすれば、己の愚かさと自己責任を痛感して静かに弁護団からの連絡を待っているサイレントマジョリティを含む本件「被害者」達全体に対する世間の無用の否定的感情を惹起する可能性がある。

むしろ誰もやらず、且つ必要性があり、「被害者の会」的存在が最も相応しいのは、本稿で検証したような一部の追い詰められた感情を持つ「被害者」の心のケアに関わることかと思う。私利私欲が動機で自己責任で行った「投資」が破綻した末に家族を無視した無責任な行動、と書いたが、世の中には脳神経に損傷があったり各種神経伝達物質の分泌・制御に支障を持つ人がおり、「責任ある行動」を取りづらくなることがあるのも事実で、本稿で取り上げた自死の女性もそのような生理学的問題を抱えていた可能性はある。

かと言って、そのような人に対する実際のケアをイチキ氏のボランティア活動に期待するのも勿論正しくない。資産状況などのプライバシーもあるし、何よりもそこに費やされる時間的労力も考えれば、専門知識と技量を持ち相応の報酬を受け取るプロでなければ勤まらない。費用は自己負担を基本とするも、一部は公的医療保険でで賄われるかも知れない。

では、そう言うケアに「被害者の会」がどのように関われる可能性があるかと言うと、本件の経緯と現状をしっかりデータベース化して、ケアに携わる人への情報源となることぐらいしか拙者には考えが及ばない。

まぁ、言うは易く行うは難し。「被害者の会」のウェブとイチキ氏のブログを拝見する限り、イチキ氏は行動力はあっても情報整理能力と表現力に関する資質はあまり期待できるようには見えない。現実は、せいぜい数ヶ月に一度「懇親会」と称する「被害者」達の同窓会で飲み食いして憂さ晴らしの愚痴の言い合い・ガス抜きをすることで少しでもストレスを和らげるぐらいが精々だろう。しかし、そう言う会合に積極的に出席する「被害者」達はそれなりに自己統制力を備えており、上に述べたような重度の「心のケア」は必要ないかも知れないが…。
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2014-03-08 : 被害者の会 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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